ハムとゼリーとトマト

子供の寝かしつけ創作ばなし ©下唇マルオ

飛込

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まもなく開幕するオリンピック

少しでも楽しく見られるように競技の勉強をします

本日は「飛込」です 英語では「TOBIKOMI」と言います

 

高い台から水の張ったプールに飛び込みますが

なぜそのようなことをするのか多くの人に理解されにくい

度胸試し的なスポーツ(あれスポーツか?)です

 

それもそのはず

そもそもスポーツではありませんでした

刑罰の一種でした

前回に解説した「スケートボード」と同じですね

 

昔アフリカのターザンの間で「バンジージャンプ」が流行っていました

樹のツルを足に結んで高いガケの上からジャンプするスリル満点の遊びです

一般のヒトにはただの恐怖でしかなく一部のターザンの間でしか流行ってませんでした

 

ターザンは度胸があればあるほど「いい男」としてモテたようです

成人の儀式でこんな恐ろしいバンジージャンプをしています

 

坂の上の高台から地面スレスレの長さの綱を足に結びジャンプさせます

勇気を持って遠くに飛び立てば 坂の下の方に着地するのですが

臆病だと遠くに飛び立てず 高台のすぐ真下に落下します

すると体が地面(土です)に直撃し 大怪我 最悪の場合死んでしまいます

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 これを見たヨーロッパの処刑人が「これだ!」と閃いたのが

「綱なしバンジー」です

しかし最大の難点は地面に激突させた後の死体がグロすぎることです

そこで考えたのが「水面に落とす」です

水とはいえ相当の衝撃がありスイカも粉々に砕け散ります

 

サメの生け簀に落とすことで死体の清掃も効率的になりました

 

しかしある日「地動説」を唱えた物理学者が処刑される際

水の衝撃を緩和するために 抵抗を極力減らした形で飛び込むことで

 死を免れるという衝撃的なことが起こりました

この公開処刑を見に来ていたオーディエンスは大興奮です

 

「あんな方法があったのか」とこぞって水に飛び込み始めました

中には途中クルクル回転しながら着水する器用な輩も出てきました

より高いところから飛び込めばたくさん回転できます

でも着水に失敗すれば大怪我をしてしまいます

「これくらいだったら失敗しても怪我しない」という高さが導かれ

今のオリンピックの飛び込み台となっています

 

私も先回のオリンピックで初めてこの競技を見たときは

下手したら死ぬんじゃないかと怖くて見ていられませんでしたが

この歴史を知ったことで今回は安心して見られそうです

 

 

 

本解説はフィクションです

スケートボード

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もうすこし寝るとオリンピックが始まります

「にわかオリンピックファン」にならないように

今から競技を覚えていきましょう

 

今日は「スケードボード」を解説します

日本では「スケボー」と呼ばれています

スケボーをする少年のことを「スケ坊」と呼びます

 

まさかスケボーがオリンピック競技になるとは誰が思っていたでしょう

というのも そもそもスケボーはスポーツではありませんでした

「刑罰」の一種でした

 

昔炭鉱が盛んだった時代に

「トコッロ」と呼ばれる乗り物がありました

石炭を入れた箱に車輪をつけて線路の上を走らせるやつです

 

悪いことをした人をトロッコにのせ坂の上から突き落とします

自分で止めることができませんので下るところまで下っていきます

その先が草むらか 池か 火の海かは刑罰の重みで異なります

 

やがでトロッコは線路が取っ払われ 箱の側壁が低くなり

板に車輪を付けただけの乗り物になりました

こうすることで坂を下りおりる恐怖を増大させていきました

 

昔からどこの国でも公開処刑には大勢の人が集まります

日本のはりつけ(磔の刑)、ヨーロッパのギロチン(斬首刑)も然りです

悪党の不幸は昔から一般市民の好物だったのでしょう

 

ロッコから進化したこの「突き落としの刑」にも大勢の人が集まりました

 江戸末期に伊賀か甲賀の忍者の末裔か誰かが不運にも処刑されことになりました

縄で体を縛られ 板に車輪を付けたやつ(もうこれをスケボーと呼びます)に

乗せられ 坂の上から突き落とされました 坂の下には竹槍の落とし穴が待っています

 

しかしその忍者は縄を解く術を心得ており 素早く縄を解くと

スケボーを巧みに操り見事に大ジャンプ

竹槍の穴に落ちることを免れたのです

見ていたギャラリーは大盛り上がり これがスケボーの始まりです

 

ちょっと悪な子供たちは この忍者の真似をして

自作のスケボーを作り 坂を滑走したりジャンプしたりと

その技を競い合うようになりました

 

オリンピックでは

「これは何かの刑罰だった」という背景を知りながら見ると

より興奮すること間違いなしです 

  

 

 

 

本解説はフィクションです

 

ゴルフ

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なんだかんだでオリンピックが始まろうとしています

オリンピックにはよく分からない競技がたくさんありますので解説が必要です

今日は「ゴルフ」について説明します

 

ゴルフの起源は諸説あるようです

一番有名なのは「羊飼いの棒叩き」説です

 

昔ヨーロッパで羊飼いが羊を小屋にもどす時に

「棒で羊を叩いて小屋にもどしていた」そうです

言うことの聞かない羊を小屋にもどすには

何度も何度も棒で羊を叩かなくてはいけませんでした

 

羊毛の質をよくするにはできるだけ叩くことをしたくはありません

少ない回数でもどすことができる羊飼いほど優秀とされていました

しかし動物愛護団体から「そもそも叩くことがおかしい」と批判を浴び

棒で叩くことは禁止されました(その後 牧羊犬が登場する)

 

「少ない打数で所定の場所に到達する」という行為には中毒性があったようで

羊飼いたちは羊の代わりに丸いボールを叩いて技を磨き続けました

ある日この姿が牧場を通りかかった貴族の目にとまります

この遊びの面白さに気づいた貴族は今のゴルフのかたちへどんどん発展させていきます

 

 しかし「ゴルフ」には負の側面が多くあります

①森を切り開いてコースを作ったため環境保護団体が怒った

②「絶対に走ってはいけない」という貴族ルールのため一般市民がスポーツとして認めていない

③よりプレーヤーのスリルと緊張を高めるためお金を賭けた勝負がエスカレートした

④裏取引の場として政治や財界の悪の温床となった

このように「いま最もSDGsから遠い競技」とされているゴルフ

今回のオリンピックが最後になるかも知れません

 

その代わりに考えられたのが「ホッケー」です

球を棒で転がしながらゴールを奪うチーム競技にアレンジされました

オリンピック競技にとって変わるか検討されているようです

しかし貴族がゴルフからホッケーに転向することはなく

ホッケー人口は伸び悩んでいます

 

今後「ゴルフ」がどうなっていくのか?大注目です。

 

 

 

 

この解説はフィクションです

アーチェリー

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もう少しでオリンピックです

オリンピックにはオリンピックでしか見られない競技がたくさんあります

今日ご紹介するのは「アーチェリー」です

 

棒を的に突き刺すゲームです

 

日本語でいうと「あーサクランボ」になります

昔ヨーロッパで息子の頭にリンゴを乗せて棒を突き刺すゲームが流行りました

男の度胸とプライドをかけた戦いです

最近では「男の〇〇」という思想が世界的に禁止になり

何より児童虐待だという声が匿名で多数よせられたことから

このゲームは姿を消しました

 

当時 意地のぶつかり合いがエスカレートし

リンゴのサイズがどんどん小さくなる傾向がありました

そしてウイリアムテル伯爵がついにサクランボを導入したのです

ほぼ悲鳴に近いものがありました

しかし誰一人として息子の命を落とすものはいなかったそうです

やはり昔の人は気合と根性が違います

 

さてオリンピック競技の「アーチェリー」ですが

「棒で刺す」技能を競い合うことに焦点を絞りゲームをリニューアルさせました

サクランボと息子は「同心円状の的」に姿を変え中心からの距離をポイント化しました

一本勝負を複数回に増やし合計得点でその技能を表すことにしました

また的の距離もどんどん遠くにし簡単に当たらないようにしました

このおかげで勝負が決まらないからと言って「的がどんどん小さくなる」という

過去の苦い経験をくりかえずにすみました

 

ここから派生した競技に「ダーツ」があります

目が悪い人は的が遠すぎて見えないので「逆に近づけた」と言われています

弓矢も仰々しいので短い棒になりました

今度は近すぎて勝負がつきにくいという問題が発生しました

なので的を細かく区切って点数の仕組みを複雑にしました

あまりに複雑すぎるので多くの人はルールを理解することができず

未だにオリンピック競技になるには至っておりません

 

ぜひオリンピック本番では

選手が「的を何に見立てて狙っているか」をよく想像しながら

観戦を楽しんでください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#19 マッチ売りのトマト

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今日はクリスマスの日です

 

トマトはご馳走を買ってハムとゼリーが待つ冷蔵庫へ帰るため

寒い雪の街中でマッチを売っていました

 

「マッチはいりませんか?」

 

街をいく人々は誰もトマトを振り返りません

 

だんだん日が落ちて暗くなっていきます

ようやくひとりのお爺さんが一つマッチを買ってくれただけでした

「今頃マッチなんて使わないよ」

とひどい言葉をかけていく人もいました

 

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トマトは冷蔵庫で待つハムとゼリーに

七面鳥やケーキやフライドポテトを買って帰りたかったのですが

そんなことはできそうにもありません

 

トマトは寒い冬空の中

悔しくて寂しくて不安になりました

 

でもトマトはハムとゼリーの喜ぶ顔が見たくて

もう少し頑張ろうと思いました

 

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そのために少しだけ暖かくなろうと思い

売り物のマッチで火をつけました

 

するとどうでしょう

マッチの炎の中にハムとゼリーの楽しそうな笑顔が浮かんできました

「わー ハムとゼリーだ!」

トマトはびっくりしました 

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「なんなんだ今のは? 夢か幻か?」

トマトはもう一度マッチに火をつけました

するとどうでしょう

やはりマッチの炎の中にハムとゼリーが浮かんできたのです

「これは夢ではない 確かに見えたぞ!」

 

トマトは興奮してきました

「ねえみんな このマッチ 魔法のマッチだよ!」

そう叫ぶと街ゆく人々が寄ってきました

 

「このマッチに火をつけてみてよ」

ある男が火をつけると

暖かい家族の姿が浮かんできました

「おー!なんだこれは!これは私の家族だ」

 

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またおばあさんが火をつけると

優しそうなおじいさんの姿が浮かび上がりました

「おやまぁ死んだおじいさんじゃないか」 

 

どうやらこのマッチは

その人の大切な人を浮かび上がらせるようです

 

「このマッチをおくれ」

そう言って人々はマッチを争うように買い求めました

 

ちゃっかり者のトマトは

マッチの値段を100円プラスして売り始めました

それでもこの珍しいマッチは飛ぶように売れ

あっという間に全部売り切れてしまいました

 

「やった!これでハムとゼリーにご馳走を買って帰れる!」

トマトは七面鳥とケーキとフライドポテトを買って

ハムとゼリーの待つ冷蔵庫へと帰っていきました

 

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終わり